動物園水族館雑誌文献

タイヘイヨウセイウチの臨床・剖検記録

発行年・号 1998-40-01
文献名 タイヘイヨウセイウチの臨床・剖検記録 (Clinical and Pathoanatomical Notes on the Pacific Walrus, Odobenus rosmarus divergens)
所属 伊豆三津シーパラダイス,東京大学総合研究資料館
執筆者 中島将行,香山 薫,神谷敏郎
ページ 1〜7
本文 タイヘイヨウセイウチの臨床・剖検記録

中島将行1,香山 薫1,神谷敏郎2

1 伊豆三津シーパラダイス,2 東京大学総合研究資料館

Clinical and Pathoanatomical Notes on the Pacific Walrus,
Odobenus rosmarus divergens

Masayuki Nakajima1,Kaoru Kohyama1 and Toshiro Kamiya2

1 Izu Mito Sea Paradise,Shizuoka,
2 The University Museum of the Tokyo University,Tokyo

伊豆三津シーパラダイスにはタイヘイヨウセイウチ(Odobernus rosmarus divergens)が1977年の開館年に3頭(日本初),1990年に2頭,1992年には3頭と,3回の輸送で計8頭が搬入された.1997年までにそのうちの4頭が死亡し,筆者らはそれらの4例について,すでに体形や臓器などの形態を纏めたが(中島ほか,1998),本報では個体別に主な臨床経過および剖検記録を記述した.
材料および方法
伊豆三津シーパラダイスに搬入されたタイヘイヨウセイウチはすべて北極海のウランゲリ島で出生した幼獣であり,月齢3-6ヵ月で捕獲され,他園にて飼育後(死亡第1,第4例,コペンハーゲン動物園,1年6ヵ月間)か,またはすぐに現地から日本に輸送された(死亡第2,第3例),死亡した個体4例はすべて雄であった.解剖はそれぞれ死亡した即日に実施した.第1例の剖検では組織病理用検体を体内25ヵ所から採取し,東京大学医学部解剖学教室にて調べた.また第1例からは脳を摘出した.第4例では生存中に採取した膿性の鼻汁と顔面患部の開放性膿の細菌検査を沼津医師会病院検査センターに依頼した.

結 果
臨床経過および剖検所見
死亡第1例死因:循環不全,臨床経過:同時に搬入された他の2頭は空港到着時から各個別の木製の艦(1.5×2.5×1.0m)のなかでよく動き,当館に到着した時もすぐに艦から展示飼育室(広さ15×6m,約半分は水槽,水深1.5m)に移動した.しかし,当個体は動作が不活発で,当館に到着した時もなかなか艦から出ず,移動終了までに3時間を要した.ストレス軽減を目的に強制的な作業を避けたためであった.その後の飼育では,他の2頭は魚肉のミンチ(サバ,栄養剤添加)をよく食べ,行動も活発であったが,当個体は搬入日から食思の廃絶が続き,動作はさらに緩慢となり,衰弱著しくなった.搬入37日後,約100gの魚肉ミンチを500㎖の微温湯で溶かし,カテーテルにより強制給餌したが,約1時間後にその殆どを嘔吐し,続発した強度の痙攣発作の直後に死亡した.
剖検所見:全身の削痩顕著,両鼻腔内に膿汁性の分泌物が存在した.舌尖中央に5mm大の円形状の粘膜の離脱があり,また左前肢の掌側面中央に70×40mm大の膿瘍が認められた.左腋窩の肥大リンパ節は90×70×20mm大で,重さが120gあり,右側の同部位の正常リンパ節の約4倍の大きさであった,組織検査では白血球の浸潤が強く,一部に融解が認められた.心膜腔には約100㎖の水飴状の粘性液が貯留した.左右両心室はともに虚血状態であった.心筋組織像に著変はなかった.両肺は肺気腫となり,外見は顕著な紅白のモザイク模様を呈し,実質では肺胞に空気が混入した膨大部分と肺胞壁が重度に鬱血した部分とが混在した.肺炎像は認められなかった.細気管支に異物(微細な魚肉)による部分的な閉塞が認められた.胃内には約400㎖の水様液,40mm大の石2個,40-61mmの細長い木片4本が存在した.胃体部の粘膜に10×5mm大の長円形の出血性の潰瘍があった.腸内には内容物がなく,大腸粘膜に出血斑が密在した.副腎皮質に多くの出血像が認められた.膀胱は空虚で,粘膜に粟粒大の出血点が散在した.精巣は未成熟であった.他の臓器および血管,脳の外見.脳髄膜脳脊髄液に異常は認められなかった.

Table 1 Dead specimens of the Pacific walruses,Odobenus rosmarus
divergens,kept at Izu Mito Sea Paradise during April 1977~March 1994.

D:dead,BL:straight length of the body,BW:body weight,( ):estimated


死亡第2例 死因:循環不全,臨床経過:同時期に搬入された他の2頭の状態は,肥満は中等度で,よく摂餌し,行動も活発であった.しかし,当個体は食思廃絶し,痩せが著しく,自発的な行動や刺激に対する反応が乏しく,呼吸は弱く不全であった.強制給餌を数回試みたが成功しなかった.搬入翌日より抗生物質と栄養剤を筋注した.衰弱は次第に顕著となり,搬入5日後,伏臥したままの姿勢で呼吸困難をおこし,死亡した.
剖検所見:削痩が顕著,気管および気管支内に黄白色の泡沫が認められた.両肺は肺水腫となり,充血が認められた.右心室は拡大し,心筋全体が帯白色であった.肝臓は外表の一部が白変していたが,実質全体に弾力があり,割面にも異常は認められなかった.胃底部の粘膜に欄があり,2-4mm大の出血点が散在した.十二指腸粘膜の3ヵ所にそれぞれ3mm大の潰瘍が認められた.腎臓は小腎葉間の境界が不明瞭であった.

死亡第3例 死因:肺充血,臨床経過:1993年3月上旬,同一の飼育室(広さ5×4.3m,水槽2×2.5m,水深1.3m,同期搬入の2頭飼育)の他の個体にシラミ起因の皮膚病が発症し,患部に発熱および部分的な発赤と軽度な浮腫が認められた.1ヵ月後に当個体も同様の症状を示した.4月15日,シラミ駆除の試みとして水槽の飼育水を海水(常温,流水)から淡水(上水道水)に変換した.翌日,午前11時40分の観察では2頭とも平常であったが,午後6時50分,当個体の右側横臥の死体が槽底に発見された.血液(喀血)が水槽水に混じり,床にも飛散していた.
剖検所見:外傷はなく,肥満は中等度,口と鼻から少量の血液が流出した.気管内に多量の泡沫と血性の水様液が存在した.気管内の粘膜および両肺に顕著な充血が認められた.心外膜はやや白色であった.胸膜腔には約40㎖の血性の漿液が貯留した.肝臓には外表の2ヵ所に20mm大の繊維化した部分と,被膜下の4ヵ所に10mm大の血腫が認められた.脾臓実質に充血斑が散在した.胃内に約800㎖の水様液と少量の魚肉(サバ)の小片が存在した.膀胱は小児頭大に膨張し,約300㎖の透明な尿が貯留した.他の臓器に異常は認められなかった.

死亡第4 例死因:両上顎犬歯(牙)の慢性歯髄炎,臨床経過:①1984年5月上旬~6月上旬の期間(搬入7年後):食思が減退し,右顔面が腫脹した.鼻汁は次第に量を増して膿性化し,酸臭を発した.両牙の長さは約20cmであり,摩耗顕著な先端部からの細菌感染による急性歯髄膿瘍と診断し,5月下旬に3日間3回,抗生剤と消炎酵素剤を筋注した.6月3日,患部が自壊して少量の膿汁が漏出した.2日後に排膿が止まり,腫脹は消失した.食欲が回復したので,抗生剤を7日間経口投与した.②1984年8月中旬~9月上旬の期間:病状が再発し,右顔面の腫脹が左側に拡範した.8月17,18日に前回同様の筋注をした.3日後の腫脹消退の際,左顔面患部の2ヵ所に2mm大の傷孔が認められた,食欲などの生活状態は復調したが,その後も当部位からは断続的に僅かな膿汁が流出した.③1986年1月下旬~5月下旬の期間:1年半前と同様の病状がみられたので,前回同様に処置した.病状の経過も前回と同様であった.④1986年8月上旬~1988年4月上旬の期間:左顔面の排膿が続き,膿汁性の鼻漏は腐敗臭を放った.この頃,両牙は極度に摩耗して短くなっていた.2月7日,左牙先端の摩耗面の象牙質層と芯(同じ歯質)との境界の一部に,微量の出血と黒変した径約2mの穿孔が認められた,注射針による計測では穿孔の深さは約20mであった.穿孔は1ヵ月余りの間に漸次拡大し,芯の触化が進行した.3月19日,芯の一部が脱落欠損して窩洞を形成した.脱落歯片は4月21日に同居個体の糞便から回収された.大きさは40×25×15mmであった.⑤1989年5月27日~6月14日の期間:右牙が左牙同様の経過の末,中空の管状となった.脱落歯片は45×25×20mm大であった.牙の露出部分の長さは唇側が左25mm,右22mm,口蓋側はともに100mm,太さは前後径が左77mm,右75mm,左右径は左58mm,右56mmであり,楕円状の外周壁の厚さは両牙とも9-11mmであった.⑥1991年7月下旬~1994年1月中旬の期間:この期間に排膿はみられなかった.⑦1994年1月中旬~3月3日の期間:当個体はサバの三枚おろしを一日に20-30kg常食していたが,1月19日より食思廃絶となった.しかし,一日に数回ザラメ状にして与える水粒は平常どおり一日に計10-20kgを摂取した.1月23日より連日,左顔面の傷孔より時折り僅かな排膿が認められた.行動は漸次不活発となり,昼夜の多くの時間を室隅の床上で過ごした,姿勢は仰臥位が多く,嗜眠状態であった.1ヵ月後,展示飼育室から付属室(7.5×2m)へ自ら移動し,その後は戻らなかった.3月1日,状態が著しく増悪した.右側横臥のまま深い昏睡に陥り,呼吸は浅く乱調となった.同日,抗生剤,副腎皮質ホルモン剤,栄養剤を筋注した.翌3月2日も同様に施療したが,病状はさらに重篤となり,全身の振顔が頻繁にみられた.3月3日午前2時,死亡が確認された.
剖検所見:口唇と頸部に擦過傷があり,下顎と胸部に皮下出血が認められた.左顔面の傷孔と両牙の窩洞内に膿汁があり,両外鼻孔から膿性の鼻汁が少量流出した.顔面頭蓋右側部の鼻孔と眼窩間に瘻孔が認められ,浅部では縦の長さ55mm,横幅31mm,深部では縦17mm,横19mmであった.当部位は牙の歯根尖端部に相当した.顔面頭蓋の鼻孔上部には化膿の融解による横長の陥凹部分があり,瘻孔から始まり左側の排膿部位に続いていた.その範囲は直線で横の長さ115mm,縦の幅18-44m,陥凹の深さは殆どの部分が2-10mm,瘻孔周辺は24mmであった.同様に骨の溶解による陥凹部分が左の鼻孔から左横にのびた溝となり,その範囲は95×7-23mm,深さ2-5mmで,左側鼻孔の陥凹基部が幅と深さは最大であった.牙の摩耗周縁より窩洞内の芯の残存部までの深さは左50mm,右100mmで,一部は貫通していた.両肺は肺気腫が著しく,充血が顕著であった.心臓は全体に丸く,囲心膜には著しい脂肪の沈着があった.胸膜液はほとんどなかった.腹腔臓器は全般に弾力に欠けていた.肝臓は被膜の一部に肥厚がみられ,実質には部分的に軽度の黄色化,褐色色素の沈着と硬化が認められた.脾臓に貯血はなく,白脾髄が明瞭であった.胃内と腸内の粘膜は全面がえんじ色を呈し,充血していた.小腸粘膜の充血は大腸よりも顕著であった.副腎皮質に出血が認められた.大網腹膜壁,腎臓の周囲に脂肪が沈着していた.
細菌検査
死亡第4例が歯牙疾患に罹患してから約4ヵ月後の1984年9月12日と同年10月2日に,漏出していた膿性の鼻汁を採取して検査した.その結果,ともにEscherichia coliが検出された.また2年経過時の1986年5月30日に,顔面患部の小傷孔から採取された開放性膿の細菌はProteus vulgarisと同定された.



Fig.1 The anterior aspect of the skull of a pacific walrus,Odobenus rosmarus divergens,dead specimen No.4,in which right tusk had exuding pulpal adscess.

Fig.2 Closeup of the lesion of the skill in Fig.1.

考 察

セイウチの死因について,Fay(1981,1982)は野生獣では外傷,肺炎,尿道炎などの症例約20種をあげているが,飼育下で死亡した本報の4例の主な死因は循環不全,肺充血,歯髄炎であった.
死亡第1例と第2例は搬入後間もなくの死亡であり,幼弱捕獲,輸送,環境の激変,疾病などによる心身の衰弱が大きな要因になったものと推測された.海獣類(特にラッコ)では類似した事
例が多く,致死的な変化をもたらす捕獲,輸送に伴う症候群(capturestresssyndrome)として認められている.
死亡第3例は初期の飼育が成功したと思われた搬入6ヵ月後に突然死した.死亡日が当個体および同居個体のシラミ駆除のための淡水浴開始翌日に合致したため,それが死因か否かを検討した.まず鰭脚類の飼育では淡水使用の例が多く(日動水協宿題調査,1991),そのことが重大な死亡原
因となった例は知られていない,次に鰭脚類に寄生するシラミ(Anoplura)については多種が報告されており(Dailey and Brownell,1972;Dierauf,1990;Fay,1982;King,1983),Fay(1982)は野生のセイウチではシラミの寄生による際立った害はないように思われる,と述べ,King(1983)も外見上のシラミの害はない,と記している.筆者らもセイウチや他の鰭脚類飼育の実績から前者らにおおむね同意するところであり,シラミと淡水浴は当個体死亡の直接原因ではなかったと推考した.なお当時の同居個体は1998年4月現在健在である.
死亡第4例の歯牙疾患の病態は,Brown(1962)やFay(1981,1982)の記述にもあるように,初めに牙の摩耗箇所から細菌感染し,急性の局部性化膿性の歯髄炎(pulpitis)から慢性化して歯髄膿瘍(pulpal abscess),さらに歯根膜炎または根尖性歯周炎(Pericementitis,apicalperiodontitisorparodontitis)へと進行し,歯根端部の顔面頭蓋(上顎骨)の骨質や軟部組織を吸収破壊して膿瘍形成に拡大した.病巣には長期の蓄膿があり,断続的な排膿を伴ったものと診断された.このような歯牙疾患の発症頻度は,Fay(1982)によると野生獣では標本数およそ2,000個中僅かに7例であった.これに反して飼育下の個体では壁などによる牙の摩耗例が多く知られている(Brown,1962;Brown and Asper,1966;Coates,1962;Fay,1981,1982;Hagenbeck,1962;中島,1979;Walshetal.,1990),特に飼育初期の幼獣では,病変は容易に歯髄腔から根尖孔を通じて歯根部周囲組織に波及悪化して,最終的には敗血症などを併発して死に至ると推測される.
わが国では2館から1例ずつ,歯髄症罹患犬歯の抜歯治療例が報告されている.施療はともに4歳の雌の両牙であった(毛利ほか,1989;角川ほか,1996).
死亡第4例の罹患約4ヵ月後の顔部病巣から2種類の細菌が検出されたが,Brown(1962)は鼻部の病巣菌数種をあげ,Walshetal.(1990)は患チからの細菌8種と皮膚や糞便からの菌計約30種を表記した.それらの菌はいずれも代表的な化膿菌や腐敗菌で,種々の炎症疾患の主因菌である(戸田ほか,1973).

要 約

本報は,1977年から1994年の間に伊豆三津シーパラダイスにおいて,飼育下で死亡したタイヘイヨウセイウチ4例の臨床と剖検の記録である.例はすべて雄であり,年齢は6ヵ月-19歳.体長は132.0-294.0cm,体重は98.0-1243.3kgであった.主な死因は幼獣3個体のうち2個体は循環不全,1個体は肺充血であり,他の成獣1個体は両牙の重度の歯髄炎であった.歯髄膿瘍の病巣からの排膿は,当個体が死亡するまでの約10年間に及んだ.

謝 辞

日本におけるセイウチ飼育の最初の機会を与えて下さった伊豆箱根鉄道株式会社に感謝し,飼育管理にともに尽力された伊豆三津シーパラダイスの方々に深甚の謝意を表します.

引用文献

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SUMMARY

This paper presents clinical and pathoanatomical notes on four dead Pacific walruses,Odobenus rosmarus divergens,which were kept at Izu Mito Sea Paradise during 1977-1994.They were males,6 months to 19 years old,132.0 to 294.0cm in body length and 98.0 to 1243.3kg in body weight.The principal cause of death of two young animals was cardiac insufficiency and in one young animal it was engorgement of the lung. In the fourth animal, an adult, it was diagnosed as severe pulpitis of both tusks.The focus of pulpal abscess had been exuding pus for almost 10 years until this animal's death.
〔1997年10月17日受付,1998年6月10日受理〕

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