動物園水族館雑誌文献

座礁したコマッコウの保護と飼育

発行年・号 2009-50-01
文献名 座礁したコマッコウの保護と飼育 (Rescue and Rehabilitation of the Pygmy Sperm Whale, Kogia breviceps)
所属 鴨川シーワールド
執筆者 祖一 誠、前田義秋、加藤加奈、佐伯宏美、井上 總
ページ 13〜20
本文 座礁したコマッコウの保護と飼育

祖一 誠、前田義秋、加藤加奈、佐伯宏美、井上 總

鴨川シーワールド
(〒296-0041 千葉県鴨川市東町1464-18)

Rescue and Rehabilitation of the Pygmy Sperm Whale, Kogia breviceps

Makoto Soichi, Yoshiaki Maeda, Kana Kato, Hiromi Saeki and Satoshi Inoue

Kamogawa Sea World
(1464-18, Higashi-cho, Kamogawa-shi, Chiba 296-0041, Japan)

キーワード:コマッコウ、ツナビ、保護、綱火反応

要約

鴨川シーワールドでは、2003年1月28日に千葉県南房総市和田町の太平洋に面した長者川(二級河川)河口に座礁したコマッコウ Kogia brevicepsの幼獣1頭(雌,体長186cm,体重88.5kg)を保護・飼育し、行動観察を行った。飼育開始から395日目の2004年2月26日に敗血症により死亡したが、飼育期間としては日本最長、世界的にもおそらく2番目の記録であると思われる。死亡時の体長は214cm、体重は133kgで、体長28cm、体重44.5kgの成長が認められた。無刺激時の本個体は潜水と浮上を繰り返し、平均潜水時間4分44秒、平均浮上時間3分40秒、浮上時の平均呼吸数5.6回/分であった。飼育開始時は単独飼育であったが、バンドウイルカやハナゴンドウなど他種との混合飼育を試みたところ、他個体からの追尾などによる威嚇を受けると赤褐色の排泄物を大量に排泄し、その中に身を隠す退避行動が確認された。本稿ではこのコマッコウ特有の行動を、本種の異名であるツナビに因み「綱火反応」“Tsunabi reaction"と呼ぶことにした。

はじめに

コマッコウ Kogia brevicepsは体長2.7〜3.4mの小型歯鯨で、世界中の熱帯から温帯にかけての水深の深い海域に棲息し、陸棚斜面の上あるいはその近くにいることが特に多いが、生態と行動についてはほとんどわかっていない、北アメリカ東海岸、南アフリカ、オーストラリア南東部などで座礁がよくみられ、アメリカ南西部ではバンドウイルカに次いで、2番目に座礁の多い種でもある(レザーウッド・リーヴス,1996;ジェファーソンほか,1999;ロス,1991)。アメリカのボルチモア水族館では、座礁した本種の幼獣を保護・飼育し、189日後に標識放流している(Scott et al.,2001)。アメリカ、フロリダ州にある鯨類保護施設では、座礁した多くのコマッコウ類Kogiaspp。を保護しており、同施設での最長飼育日数はコマッコウで631日、近縁種のオガワコマッコウ Kogia simusでは465日である。これらの飼育記録は、それぞれ世界最長である(Manire et al.,2004)。日本でも各地で座礁が認められているが、生きて保護されることは極めてまれで、水族館でもあまり飼育されたことがない(石川,1995;中島,1995;加藤,1996)。鴨川シーワールドでは1970年の開館以来、房総半島近海で座礁や定置網に迷入した小型歯鯨類の保護活動を行っており、コマッコウについては、過去に座礁した4頭を保護・飼育した(Table 1)。その内の1頭は1年間以上(395日)飼育し、コマッコウ特有と思われる呼吸リズムや排便による退避行動などを観察する機会を得たので飼育経過とともに報告する。

Table 1 Pygmy sperm whale rehabilitated at Kamogawa Sea World

材料と方法

保護個体
2003年1月28日に千葉県南房総市和田町の太平洋に面した長者川(二級河川)河口に座礁していたコマッコウの幼獣1頭(雌)が地元住民に保護され、近くの和田町漁業協同組合のコンクリート製活魚水槽(5m×2m×水深1m)に仮収容された。関係行政機関からの保護要請に基づき、本個体はトラックで鴨川シーワールドのイルカ治療プールに搬入された。漁業協同組合からの輸送時間は約30分、座礁発見からは3時間30分後であった。体表には多くの擦過傷やダルマザメ Isistius sp.,によるものと思われる4ヶ所の円形(直径約5cm,深さ約1cm)の咬傷の他、尾鰭などにも多数の咬傷跡が認められ背鰭基部の患部は化膿していた。体表にはペンネラ Pennella sp.約20個体の寄生も認められ、衰弱が著しく自力遊泳は困難な状態であった。

飼育環境および同居動物
本個体が保護飼育されたイルカ治療プールは、楕円形のコンクリート製屋外プール(長径12m×短径11m×水深3.5m,水量350㎥)で、飼育水はろ過循環・殺菌および冷暖房されている。プールには水中観察窓の他上下動(水深0.4〜3.5m)が可能な可動床が設置されており、容易に水深を変更することができる。本プールは、バンドウイルカTursiops truncatusの群れが飼育されているイルカ繁殖プール(長径18m×短径15m×水深3.5m、水量660㎥)と隣接しており、プール間は水深0.6mの浅瀬を有し、取り外し可能な簡易棚で仕切られている(Fig.1)。飼育期間中の水温は16.6〜29.7°C(平均22.7°C)、気温は-2〜36°C(平均18.2°C)であった。飼育開始時は単独飼育であったが、飼育開始11日目よりイルカ繁殖プールからバンドウイルカ1〜2頭を断続的に移動し、本個体との同居を試みた。同居時間は、30分間/日から始め、本個体の状態に応じて時間を延長し、6月10日(134日目)以降は終日同居とした。4月19日(82日目)には千葉県の海岸に座礁したハナゴンドウ Grampus griseus1頭(雄,BL:227cm,BW:115kg)、7月16日(170日目)にはカズハゴンドウ Peponocephala electra1頭(雄,BL:200cm,BW:92.5kg)、2004年1月10日(348日目)にはコビレゴンドウ Globicephala macrorhynchus1頭(雄,BL:255cm,BW:252kg)がそれぞれイルカ治療プールに保護搬入され、本個体との混合飼育が行われた。ハナゴンドウは11月19日に他のプールへ移動、カズハゴンドウは10月19日に死亡した。呼吸リズムの観察12月28日より、ハナゴンドウが搬入される前の4月18日までの延べ28日間にわたりコマッコウの呼吸リズムの観察を行った。観察は、原則一日一回とし、単独飼育が行われ本個体が落ち着いている無刺激時の30分間とした。

結果

給餌
イルカ治療プールへ搬入された本個体は非常に重篤で、自力遊泳ができず水流に流されて水面を漂っている状態であった。可動床によりプールの水深を0.6mに保ち、外傷の処置・補液・筋肉注射等の治療とともに冷凍スルメイカ Todarodes pacificus(300g/匹)を用いて強制給餌を行ったところ、翌日にはプール底(水深3.5m)までの潜水遊泳が認められるなど、行動は若干好転傾向を示した。水深を浅くしての強制給餌は朝夕2回行い、餌料にはスルメイカの他に冷凍カラフトシシャモ Mallotus villosus(30g/尾)を加えた、飼育開始4日目の強制給餌時には人による保定無しの状態で口元に差し出された餌を自ら摂餌、5日目には餌への要求動作が認められるようになった(Fig.2)。本個体が幼獣であることを考慮し、人との接触強化によるストレス軽減を目的として、ダイバーによる水中給餌を試みたところ接近して摂餌した。6日目より給餌回数は日中の5回とし、給餌時のプールの水深は本個体の状態に応じて段階的に深くしていった。9日目にはダイバーへの警戒心が少なくなり水深3.5mでの接近摂餌が可能となった(Fig.3)。その後、ダイバーによる水中給餌は一日一回を基本として実施した。本種は、海では主としてイカ類を捕食し、魚類やエビ類も食することが知られているので(加藤,1996;Caldwell and Caldwell,1989)、餌料種には冷凍のスルメイカ・ヤリイカ Loligo bleekeri・カラフトシシャモを使用した。飼育開始9日目と10日目にはプール底に海で摂餌したものと思われるイカの顎板(口器)が多数確認され、その後にも口を大きく開けて多数の顎板を吐き戻している行動が確認されたため、餌料のイカ類は顎板と軟甲を取り除いて与えた。1ヶ月後には人への警戒心はほとんどなくなり、水中を含めて人が本個体の体に触ることが可能となった他、プールサイドの人影を追う行動が頻繁に認められるようになった。一日の給餌回数は4〜5回とし、給餌量は体重の増減や食欲により決定した。10〜11月は体調が悪く摂餌状態も不安定であったが、その他の月はほぼ安定した摂餌が認められた(Fig.4)。2003年2月から各月の一日平均給餌量は3.6〜6.7kgで、体重測定日毎に求めた給餌率(一日の平均給餌量/体重)は3.5〜6.9%であった。給餌したイカ類と魚類の割合は月によって異なるが、平均ほぼ3:2であった(Fig.5)。

Fig.1 Medical holding pool for dolphins used for rehabilitation of a pygmy sperm whale.

Fig.2 Initial feeding of a pygmy sperm whale at a shallow depth.

Fig.3 Underwater feeding of a pygmy sperm whale by a diver (the ninth day of rehabilitation). The food item is capelin. The oval scar on the side is a cookie cutter shark bite wound.

治療
本個体の治療は、動物への負担を軽減させるため可動床によりプールの水深を浅くして(0.6〜1.1m)行った。本個体の治療経過等の獣医学的所見については既に報告されている(Katsumata et al.,2004;Ohishi et al.,2007)。治療は、飼育開始5日目までは2回/日、12日目までは1回/日、その後は快復状況に応じて間隔を開けて行った。搬入直後より体表に見られた咬傷や擦過傷などの外傷治療や抗生剤・強心剤などの投与(筋注・経口)による処置を行ったところ、外傷は飼育開始4ヶ月後にほぼ完治した。しかし、45日日頃より側頭部に腫脹が認められ、患部の切開などによる処置を行ったが、次第に悪化し快復することはなかった。死因は、重度の気管支肺炎に起因する敗血症であった。

Fig.4 Feeding of the pygmy sperm whale
(the llth month of rehabilitation).

Fig.5 The monthly food consumption of the pygmy sperm whale.

Fig.6 Changes in body length and mass of the pygmy sperm whale.

Fig. 7 Breaching behavior of the pygmy sperm whale.

Fig.8 Playing behavior of the pygmy sperm whale. The whale is opening its mouth and receiving fresh water from a hose in standing position.

Fig. 9 Defecating behavior of the pygmy sperm whale. The whale was threatened by a Risso's dolphin and hid in the clouds of defecation (Photo : Shinichi Fujiwara).

成長
本個体の体長と体重の測定は健康管理の目的で定期的に行った。2003年1月28日、保護収容時は体長186cm、体重88.5kgであったが、死亡した2004年2月26日(飼育日数:395日)の測定値は体長214cm、体重133kg(最高体重は2003年12月15日の142kg)で、体長で28cm、体重で44.5kg(最高53.5kg)の成長が認められた(Fig.6)。

飼育下での行動
一般行動無刺激時の本個体は非常に緩慢な動きであるが、同居中の他個体から威嚇を受けたり驚いたりしたときには速泳が見られた。胸鰭は体側に密着することができるだけでなくよく動かすこともできる。水中給餌時にダイバーの前で静止してバランスをとったり他個体からの攻撃を回避したりするときには胸鰭をよく動かして使用しているのが認められた飼育開始から3ヶ月頃より、プール中央付近で棒立ちして頭部を水面から出して陸上の様子を伺ったり(スパイホップ)、ほぼ全身を水上に出して水面に体側を打ち付けるジャンプ(ブリーチング)をしたりする行動が認められるようになり、その後これらの行動は次第に盛んになっていった(Fig.7)。飼育開始8ヶ月後には水道ホースから勢いよく出された水を立ち泳ぎして口で受け止めて遊ぶ動作が頻繁に観察されるようになった(Fig.8)。

排泄行動
コマッコウは、しばしば海面に浮かんでいることがあり、託を放つと驚いてロケット花火(綱火)を連想するような排泄物を大量に残して潜行することが観察されることから、近海捕鯨が盛んに行われていた和歌山県太地では、昔から本種をツナビと呼んでいる(Yamada,1954)。このように本種は驚いた時などに赤褐色の大量の排泄物を排泄することが知られている(Caldwell and Caldwell,1989;レザーウッド・リーヴス,1996;Jefferson et al.,2008)。この排泄行動は、飼育下でも頻繁に観察することができた。バンドウイルカとの同居開始時には、バンドウイルカからの激しい追尾による威嚇を受けると速泳と共に大量の煙幕状の排泄物を排泄し、その中に身を隠す退避行動がよく確認された、排泄物の量が著しく多い場合には、プールが濁ってイルカの姿が確認できなくなるほどであった。同様の行動は、途中から同居したハナゴンドウに威嚇された時にも行われ、この排泄行動により追尾が中断することも確認されている(Fig.9)。また、ハナゴンドウが水溶性の便を排泄した時には、その中に頭部を入れて隠れる動作をすることも時々観察された。その他、可動床の作動による環境変化に驚いたり、給餌中などに興奮したりすると速泳と共にこの排泄行動がしばしば認められた。

呼吸リズム
コマッコウは、ウキクジラと呼ばれていたこともあり(Yamada,1954)、飼育下でも無刺激時には水面に浮かんでいることがよく観察された。しばらく水面で静止した後、潜水してプール底で静止し再び浮上する行動を繰り返し行っていた。水面での平均浮上時間は3分40秒(1分41秒〜6分46秒)、平均潜水時間は4分44秒(38秒〜7分44秒)であった。浮上時間と潜水時間の割合は11:14であった。浮上時の平均呼吸数は5.6回/分(4.3〜6.9回/分)で、観察時(30分間)の平均呼吸数は2.7回/分(1.5〜3.5回/分)であった(Fig.10)。

考察

保護したコマッコウは、外傷が多く重篤な状態であったにもかかわらず395日間飼育することができた。これは、地元住民・行政機関・水族館が一体となり、座礁発見からイルカ治療プール搬入までが僅か3時間30分でおこなえた迅速な初期対応によるものと考えられた。さらに、イルカ治療プールに設置されている可動床の使用および本個体が幼獣であったことを考慮して行ったストレス軽減策が非常に有効であったと推察される。飼育開始5日目より試みた水中給餌による人との接触強化はストレス軽減に有効であった。バンドウイルカとの段階的な同居の試みは、当初本個体への威嚇が頻繁に認められたが、次第に少なくなり最終的にはハナゴンドウやカズハゴンドウなどと共に群れ行動が認められるようになり安定した飼育を継続することができた(Fig.11)。
コマッコウの両体側には胸鰭を密着させることができる僅かな窪みが認められ、高深度潜水時の水の抵抗を少なくするために有効であると思われる。また、胸鰭はよく動き、小回りがきく泳ぎをすることができる。浮上と潜水を繰り返すコマッコウの呼吸リズムは、多くの水族館で飼育されているバンドウイルカなどとは明らかに異なる。これらから、陸棚斜面付近に棲息する本種が、高深度潜水を行い深海に棲む小型の頭足類や甲殻類などを巧みに捕食して浮上し、そして、呼吸を整えて再び潜水して行く姿を容易に想像することができる。
本個体が幼獣であったからとも考えられるが、バンドウイルカやハナゴンドウから再三威嚇されても反撃する行動は一度も確認されなかった。時々、速泳やジャンプを行うことはあったが、一般的に動きは非常に緩慢であった。一見外敵に対して全く無防備に思われるコマッコウの唯一の防御手段は、本種特有の排泄行動であろう。赤褐色をした排泄物の煙幕の中に身を隠し、同居イルカからの攻撃(威嚇)を回避する行動は頻繁に確認することができた。日本では水族館の一部飼育関係者の間で、本種の赤褐色の排便は「ツナビ」と呼ばれている。北米でも飼育下の本種や近縁種のオガワコマッコウで同様の排泄行動が確認されており(Cunningham-Smith,2003)、その行動は"inking"と呼ばれている*。一方、近海捕鯨が盛んに行われていた頃、和歌山県太地町では、特有の排泄行動からこの動物をツナビ(綱火)と呼び、Yamada(1954)は、コマッコウが小さなマッコウクジラ Physeter catodonと混同されるのを危惧して、名前を「ツナビ」に変更することを推奨していた。いずれにしても、赤褐色の排泄物を大量に出すこの種特有の退避行動を、コマッコウの異名であるツナビに因んで「綱火反応」“Tsunabi reaction"の用語を筆者らは提唱したい。

Fig. 10 Respiration patterns of the pygmy sperm whale under non-stimulating condition. Average respiratory ratio was 5.6/min dur ing rest at the surface. Average duration of rest at the surface and on the bottom was 3min 40 sec and 4 min 44 sec, respectively.

Fig.11 Synchronized swimming behavior of the pygmy sperm whale with Risso's dolphin and a melon-headed whale.

* National Museum of Natural History : http://www, mnh. si. edu/mna/


謝辞

座礁したコマッコウの救助には、和田町の地元住民、和田町漁業協同組合、千葉県館山水産事務所の迅速な対応があった。本研究を進めるにあたり、鴨川シーワールド海獣展示一課諸氏の協力を得た。お礼申し上げる。

ABSTRACT

On January 28, 2003, a young female pygmy sperm whale, Kogia breviceps (body length: 186cm, body weight : 88.5kg) was stranded alive at the mouth of the Choja River on the Pacific coast of Wada-machi, Minamiboso, Chiba and was rehabilitated at the Kamogawa Sea World. She died due to septicemia on February 26, 2004, 395 days after her arrival at Kamogawa Sea World. This longevity is apparently the longest record in Japan and the 2nd world record. Her body length and weight were 214cm and 133kg respectively at her death and she gained 28cm in body length and 44.5kg in weight during rehabilitation. The rehabilitation facility was an oval concrete outdoor pool constructed for medical treetment of dolphins and had a false bottom which could be raised. This false bottom permitted easy access for frequent medical treatment at a shallow depth without puffing a burden on either animals or staff, and it was very useful for long-term rehabilitation of the whale. Resting behavior on the bottom and at the surface were consecutively observed under non-stimulating conditions and the average duration of each type of rest was 4 min 44 sec and 3 min 40 sec, respectively. Respiration patterns during rest episodes were recorded and the average respiratory ratio during rest at the surface was 5.6/min. She was kept alone at the beginning of rehabilitation, and later, other species including the bottlenose dolphin, Tursiopu truncates and Risso's dolphin, Grampus griseus were tentative ly kept with her. When she was chased or received any other threatening behaviors from these dolphins, we frequently observed that she defecated a very large amount of a reddish-brown fluid and hid in the clouds of her defecation. This species is also called “Tsunabi” (Japanese meaning fireworks which is propelled in the air along a straight line), and we would like to advocate using “Tsunabi reaction” as nomenclature for this specific defecating behavior of this species.

引用文献

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〔2008年6月19日受付、2008年9月17日受理〕

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