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広島市安佐動新設フラミンゴ池について
上野動物園　 古賀忠道・豊住 文雄
THE NEW FLAMINGO ENCLOSURE OF THE UENO ZOOLOGICAL GARDENS
Tadamichi Koga & Fumio Toyozumi, Ueno Zoological Gardens
1958年までに作られたアフリカ生態園の一番前に、Flarmingo収容施設を設ける筈のところ。予算の関係で、1959年漸くその完成を見ました。この Flamingo 池の後方の寝室は、既に前年河馬の観覧通路建設の際、通路の床下に設けられていたものを利用したのです。
元来Flamingo類は、非常におとなしく、且つ群棲生活をする習性のために割合に集まって生活し、また人を恐れることが少く、その翼の切除を行えば、非常に低い細でも飛び越さないのが通例です。この性質を利用して、 次のような構造としました。(第1図)
1.河馬の運動場前の観覧通路は、地上より約1.0mあるので、その前の手摺に金網を張り、その前面一帯をFlamingoの運動場としました。
2.この運動場の前面は、浅い池を以ってめぐらし、その池の縁(観覧側)に、高さ約40cmの金網細をめぐらしました。 3.この柵の外側には巾約1mの植込地を設け、観覧者と池との間を隔てました。この植込みは、その前の観客通路より約20cm位高くなっていて、その土留には高さ約40cmの鉄製の波棚を設けて人止柵としました。
4.池の面積は 95m2で、その最前方の植込に面した部分には、水中に深さ10cm-30cmの溝を作り排水溝としたが、この溝はまた. Flamingoの脱出を防ぐのに役立っています。
5.陸地の運動場の面積は191m2 で、その大部分は コウライシバの芝生とし、なるべく熱帯風の植物を植栽しましたが、特に最後方、つまり河馬池前の観覧者通路の側には、ヤツデ、アオキなどの常緑の灌木を植えて、前方より見てなるべく緑化することに努めました。ここに植えた樹木は次の通りです。
ニセアカシヤ、ワジュロ、ドラセナ、ソテツ、アベリヤ、ウバメガシ、ハイビャクシン
6.寝室は2個を設け、その前面は金網張とし、冬期は透明のプラスチックを張り、室内には赤外線電球を設備し、必要に応じて利用することとしました。目下ここには、次の四種類のFlamingoを収容していますが、前面の棚が非常に低いことと、脊部並に陸地が、緑でおおわれているために、Flamingoの紅色と相対して、非常に美しい景観を呈しています。
コモンフラミンゴ(Phoenicopterus roseus)
チリーフラミンゴ(P. chiliensis)
ベニイロフラミンゴ(P. ruber)
コガタフラミンゴ (Phoenicondias minor)
Flamingoたちは、寒気に対しても非常に丈夫で、寒中、水の張った水でも、平気で水浴しているのが見られます。コガタフラミンゴも初め心配したよりも丈夫のようで、暖房の必要はありません。
尚本収容場は、前面の金網が非常に低いので、野犬の侵入をおそれて、夜間は、夏冬共に、寝部屋に収容することとしていますが、できれば、夜間は特別の保護を加えて、特に強制的に室内に収容することなく、鳥の自由にまかしておけば、更によいのではないかと考えています。
尚以上4種の大小のFlamingoは、特に斗争することは ありませんが、大型と小型とは、別の寝室に収容しています。
本工事は、建設費約350,000円、植栽費約250,000円を 要しました。
SU M M A RY
A new flamingo enclosure was added at the atmost front of the African Ecological Enclosure in December, 1959, and four kinds of flamingoes (Phenicopterus roseus, P, ruber, P, chiliensis, and Pheniconaias minor) were shown here.