ホルモン剤とトラの出産
発行年・号
1959-01-02
文献名
飼育下グラントシマウマの発情日数と発情周期
所 属
栗林公園動物園
執筆者
ページ
38
本 文
広島市安佐動ホルモン剤とトラの出産
栗林公園動物園
11月6日トラが2仔を出産した。このトラの出産は当園に於ては初めてであり、黄体ホルモン剤及ビタミンE剤の応用によって成功したものである。
当該トラ(♀、年令5年3ヶ月)は昭和29年12月入園のもの、昭和32年2月に初交尾以来、32年に5回、33年に6回、34年に2回、計13回の発情交尾を見たが何れも受胎せず、唯一度33年4月に約2/3在胎期にて早産死亡を見た。
そこでこれを低受胎症と推定して加療する事とした。人医方面に於ては、かかる不妊症又は習慣性流産症には黄体ホルモン剤及ビタミンE剤がしばしば用いられる事より、これを応用する事とし、本年7月19日発情と同時にビタミンE(ユベラ錠)投与を開始(日量150mg20日連用)次で発情閉止日より、黄体ホルモン剤(オオホルミン・ルテウム錠)を初日30mg、2日目以後20mgを6日間連日投与した。
其後約1/3在始期にビタミンE1クール(150mg10日)2/3期に黄体ホルモン1クール(25mg6日)及分娩予定日前にビタミンE1クールを実施した。
かくして11月6日2仔を無事分娩し現在順調に発育して居る。(34.12.6)