宝塚動物園におけるあしかの育成について
発行年・号
1959-01-01
文献名
飼育下グラントシマウマの発情日数と発情周期
所 属
宝塚動植物園
執筆者
古東夏樹
ページ
28
本 文
広島市安佐動宝塚動物園におけるあしかの育成について
宝塚動植物園 古東夏樹
あしかの交配期は出産後2~3週間の間でその出産時期は6月上旬~中旬の様であります。
宝塚動物園では、33年6月10日に雄の初産を見、又34年6月5日と34年6月10日に各1頭づつの雄の子供が生産しました。いずれも母親は6才以上、雌は9才以上であり、1つのプール内に雌2、雄2を飼育しております。母あしかの乳房は胸腹部に2対あり、哺乳は出産後24時間頃より始り、1日数回長時間に亘って哺乳します。
子供の大きさは約4kgの体重で体長は50cm位あります。生後半月位で水中に入り、1ヶ月位で水泳はかなり上達いたします。成長も早く、1ケ月後には約8kgになり、親の子に対するすべての動作は、鳴言又は口先にて誘導し、時には子供の首すじを銜えて移動することもあります。体色はやや灰色でありますが、次第に親様に体色に変化して来ます。
33年6月20日生れの子は、8月7日高さ約1mの岩上より飛び込みを初め、時々魚を口でくわえますが口中には、入れず、此の頃より哺乳は主として夜間岩上で哺乳します。乳量は非常に多い様で乳房より噴出します。
34年2月中旬頃から、母あしかは食事中魚を口中にくわえて左右にふり、子がたべる様に小さくくだき始めました。
2月25日、いかなごを与えるもたべず、3月に入り口中迄入れるも嚥下せず、未だ哺乳が唯一の栄養源であるようです。
4月25日、子供の成長につれて乳量も次第に少くなり、子供が次第にやせはじめたので、たこを2cm位に切り与え、1日量2kg位たべはじめ、続いてさばの卵巣を喜んでたべ、5月に入り、いわし30~35匹を食し、生後10ヶ月にて餌付に成功することが出来ました。
参考: 1、交尾時期 6月下旬
2、妊娠期間約 340日
3、交尾年令 雌9才、雄6才
4、食事開始 生後10ヶ月
5、出産時期 6月上旬~中旬
6、哺乳期間 約10ヶ月