エミウの痒覚症について
発行年・号
1959-01-01
文献名
飼育下グラントシマウマの発情日数と発情周期
所 属
宝塚動植物園
執筆者
古東夏樹
ページ
28
本 文
広島市安佐動エミウの痒覚症について
宝塚動植物園 古東夏樹
当園飼育中のエミウ雌9才は、34年1月19日頃より背中中央部に直径約15cmにわたる皮膚組織を鳥自身の口角にて破り出血するのを発見、その後次第に範囲を拡大しつつある現象が見られたので、外科的処置を実施するも外傷部は日毎に増大を見るので、苦味剤を塗布するも更に効なく、34年2月20日に至り20×35cm迄になり、痒覚甚しきため局部組織を培養した結果、グラム陽性双六菌並に塩標窓を認めた。
これが為の作用による痒覚と診断、34年2月22日より、ペニシリン30万並ストマイ250mmの筋注及び患部に同混合液を塗布、圧迫包帯を連日実施、約2週間にて痒覚も次第に減少、食慾もではじめ、34年3月24日頃より傷口周囲より新組織の増殖を見たので、硼酸軟膏、サルファー剤の塗布により傷口も次第に乾燥、傷口周囲より発毛も見られる様になり予後良好なる現象を見るに至った。