寛永寺五重塔を中心とした日本生態園について
発行年・号
1959-01-01
文献名
飼育下グラントシマウマの発情日数と発情周期
所 属
上野動物園長
執筆者
古賀忠道
ページ
27
本 文
広島市安佐動寛永寺五重塔を中心とした日本生態園について
上野動物園長 古賀忠道
1 前言
五重塔の周辺地約3,500平方メートルを東京都で買入れ五重塔は寛永寺より寄付を受け、之が管理を上野動物園で担当することとなった。吾々は之を動物園らしい管理をするために以下述べるような施設を設けた。
2施設は次のようなものである。
A) 塔を火災より護るためのスプリンクラー及びドレンジャー設備
B) そのために40馬力のポンプ2基を設け、機械室も設備した。これにより塔内外は、必要に応じ全部水の膜で被れることになる。
C) 特に階下と1階は、火気に対して自動的に噴水し同時に宿直室に警報し、更に消防署に連絡できるようにした。
D) 塔には新に避雷針を設けた。
E) 塔周辺に深さ約1メートル、巾3メートル、長さメートルの濠を作り、水を満して外部よりの人の接近を防ぎ、塔周辺にいる動物の脱出を防いだ。又この水は水源の役目もはたす。
F) 塔の周辺は、これにふさわしい造園工事を行った。
G) 鹿を収容するため別に小運動場と鹿舎を設けた。
3 管理
防災装置の使用は、園内宿直員ができるようにしてある。平常は塔周辺に次のような動物を収容している。
日本鹿(屋久)、丹頂、マナヅル、雁鴨類、難、こい、及び金魚。
鹿は夜間は鹿舎に収容するが、他は全部放養してある。特にツル類が濠を飛越することもあるので、之を防ぐために更に研究している。
4 経費
本工事に要した経費は概ね次の通りである。
A) 防災設備 約630万円
B) 造園事 約580万円
C) 其他 約200万円